こんにちは。みなさんはVeChain(ヴィーチェイン)をご存知でしょうか。
模造品を防ぐために作られた、商品の真贋判定のために作られたプラットフォームで、現在はシンガポールに拠点があります。
この記事ではVeChainの基本的な情報から「どんなところで活用されているのか」「強み・リスクは何か?」といった特徴をご紹介いたします。
VeChain Thor(ヴィーチェーン)とは
まずはVeChainの基本的な情報をご説明いたします。
VeChainそのものは2015年に開発がスタートしました。通貨としては2017年11月にBinanceに上場されています。
- 通貨名:ヴィーチェーン(VeChain Thor)
- 通貨シンボル:VET(リブランディング後)
- 公開日:2017年11月にBinance上場
- 発元:VeChain財団(CEO Sunny Lu氏)
VeChainは2015年に構想され、2016年にバージョン0.1が公開された後、着々と開発を続けて来ました。
VeChainは相手方を信用する必要がなく(信頼性が高く)、分散されたビジネスエコシステムを作り上げることを目的として開発されています。
具体的にどういうことかというと、ブロックチェーン技術を利用して、「安全で改ざん不可能」さらに「仲介者を必要としない」ビジネスプラットフォームを作っているということです。
業者としては、中間業者がいなくなった上で、安心できるプラットフォームで商売できるということですね。
さらに、消費者としては、購入しようとする商品がどのような経緯で作り出されたのか追跡することが可能です。
例えば、有名ブランドのかばんがVeChainのプラットフォーム上で取引されていたとします。
消費者としてはその真贋を確かめたいですよね。
そんな時に、そのかばんの革がどこから調達され、どんな職人が加工したのかということまで追跡できるようになるということです。
まとめると偽物が流通できないプラットフォームということになります。
そんなVeChainですが、2018年2月16日にVeChain Thorへのリブランディング(ロゴやイメージの一新、新たな機能や提携先の発表イベント)が行われました。
このイベントではVeChainからVeChain Thorへの名称変更のほか、BMWとの提携、オックスフォード大学との共同研究などを発表しました。
https://twitter.com/boxmining/status/968073751165218816
VeChainのアルトコインランキングは?
VeChainのアルトコインランキングは2018年4月下旬現在15〜18位前後です。
現在、盗難事件に巻き込まれたNEMコインが14位、匿名性の高さが売りのMoneroなどが12位となっていますが、開発の歴史、大手企業、大学との連携を考えるとこれからも期待できる材料はあると言えそうです。
(参考)https://coinmarketcap.com
VeChain(VeChain)のチャート・値動き
ほかの仮想通貨同様まず2017年末にかけて大きく値上がりしています。
公開から2017年12月初旬までは0.1〜0.3ドル代を推移し、その後1月10日に8ドル台まで値上がりしましたが、1月16日あたりで3ドル台まで値下がりしてしまいました。
そこから一転値上がりし、1月22日には9ドル台まで値上がりが見られています。
2月6日に2ドル台まで値下がりしましたが2月20日には7ドル台まで上がりました。これは2月26日のリブランディングイベントを期待しての値動きと考えられます。
しかし、イベント終了とほぼ同時期にコインチェックにてNEMコイン大量盗難事件があったため、仮想通貨全体のトレンドに乗ってその後4月前半までゆるやかに値下がりしてしまいました。
4月下旬以降現在は緩やかに値を上げつつあります。このあたりは他の仮想通貨と同様の動きでしょう。
VeChain(ヴィーチェーン)のここがスゴイ!
VeChainの「ここがスゴイ!」というところをご紹介いたします。
VeChainが流通を変える!?
ご存知かもしれませんが、物流には「サプライチェーン」というものが存在します。
製造、仕入れ、出荷、販売の一連の流れを鎖になぞらえてサプライチェーンと表しているわけです。サプライチェーンでは、一貫した情報管理が重要になってきます。
想像がつくかと思いますが、その商品が「どこからどのように来ているか」という一貫した情報がないと途中で偽物が紛れ込んでしまう可能性がありますよね。
例えば、サプライチェーンの途中で中間業者が部品を粗悪なニセモノと入れ替える等の問題が発生しています。
VeChainはそんな問題を解決するために作られています。
いくつかVeChainが解決する問題を見てみましょう。
●高級ワイン
VeChainではQRコードやNFCチップを利用したワインボトルの追跡、真贋判定のプラットフォームが整備されていて、全ての製造工程がブロックチェーンに記録されています。
物流の提供者や小売業者の情報も同様に記録されているので、極めて高い信頼性が期待できます。
中国のワイン輸入業者D.I.G.では今後このVeChainを利用したシステムが使われることが発表されました。
●ブランド品
中国ルイ・ヴィトンにてCIOを経験したSunny Lue氏の知見もあって、VeChainはブランド品にも利用が予定されています。
個々の商品にデジタルIDを付与し、商品そのものにNFCチップを貼り付けます。
製造、物流、保管、販売、クオリティチェックなどのそれぞれの段階で、それぞれの業者とブロックチェーンを連携させてシームレスに追跡できるようになっています。
こちらはフランスの名のあるブランド企業での利用が検討、もしくは実行されているようです。
(海外のサイトを調べてみましたが2018年5月現在では具体的な名前は公表されていませんでした。)
●農業
中国の農業では品質、安全性、低い生産性、農薬や肥料の不適切な利用など様々な問題が山積しています。
VeChainは環境に優しく、オーガニック食品に対してブロックチェーンを通して保証するサービスを提供します。
製造工程でセンサーやモバイルデバイスを利用して気候、土壌環境などの各種情報をリアルタイムでクラウドに送ることで管理します。
こちらはLiaoning Academyという機関と協同研究しているようですね。
自動車のメンテナス情報を記録
VeChainは自動車開発においても活用されるようです。
自動車の開発においては多くの関係業者が関わり、また洗練された分業体制の構築も必要で、電子化には時間がかかっていました。
例として車のメンテナンス記録は依然として紙媒体で保存されることも多いのです。VeChainでは個々の車にIDを付与し、関係する全てのデータをブロックチェーン上に保存するようになっています。
具体的にはフランスのカーメーカー・ルノーがこのプラットフォームを利用することになっています。
また、2018年2月16日にはリブランディングイベントにてドイツ・BMWとの提携も発表されました。
ファミリーマートとの提携!?
多くの有名企業との提携を発表してきたVeChainですが、日本発の大手コンビニファミリーマートとの提携も噂されています。
アメリカの電子掲示板redditにてVeChain財団として、生鮮品などの低温の物流サービスにおいて「「日本、中国、アメリカ、台湾、韓国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム」に24,000以上のフランチャイズ店舗を持つ世界的なコンビニエンスストアと提携する」ことをほのめかしています。
コメント欄ではファミリーマートに違いないという意見が飛び交っていますが、果たして真相はどうなのでしょうか。
実際2択として考えられるセブンイレブンはインドネシアやベトナムに店舗を持たないようなので、ファミリーマートの可能性は高いと言えるでしょう。
VeChain(ヴィーチェーン)の課題とリスク
VeChainのリスクとしては中国との関わりの強さがあげられます。
中国との関わりの強さ
中国では2017年9月に「仮想通貨によるICO禁止」「仮想通貨取引所の停止」と大規模な規制を立て続けに行いました。
VeChainは現状シンガポールの組織によって運営されていますが、CEOのSunny Lu氏や提携している企業を見ると、中国とのつながりがとても強いことが分かります。
今後一層規制を強めるという噂のある中国とのつながりはリスクであると言えるでしょう。
中国政府の動きに注意しておく必要がありますね。
完全に分散化されているわけではないということ
VeChainには運営委員会があり、さらにブロックチェーンにてProof of Authority(POA)という承認方法をとっています。
VeChainのPOAでは101のマスターノード(承認権限がある端末)があり、運営委員会と101のマスターノードがかなり大きな影響力を持つことが予想されます。
redditのvechain関連のページにて以下のような書き込みがありました。
we are trying to find a balance between decentralization and centralization(分散化、非分散化のバランスを模索している)
うまくパワーバランスが構築されれば問題ないでしょうが、一部に権力が集中するというリスクは考えられるでしょう。
まとめ
VeChainが取り組んでいるもので、個人的に気になったのが自動車のメンテナンス記録についてですね。
自動車の走行記録など現時点ではメーターに細工することで簡単に改ざんできてしまうので、ブロックチェーンを利用することで、改ざん、詐欺のリスクが小さくなるのは大きな利点でしょう。
VeChainは企業との提携、実用化の話もリアリティがあるので、今後に期待です。