みなさんは仮想通貨のVerge(ヴァージ)をご存知でしょうか。
モネロ(Monero)やZcash(ジーキャッシュ)とならぶ匿名性の高い仮想通貨です。
この記事では仮想通貨Vergeについての特徴や値動き、メリットやデメリットをご紹介いたします。
Verge(ヴァージ)とは
Vergeは2014年にDogeCoinDark(ドージコインダーク)という名前で作り出され、2016年にVerge(ヴァージ)という名前にリブランディングされた通貨です。
通貨単位はXVGで、特定の企業が開発しているわけでもなく、ICOで出資を募ったわけでもありません。
ですので、完璧に有志の人々によって開発・運営されたというわけですね。
オリジナルのビットコインブロックチェーンをベースに
素早く効率的で分散化された方法でプライバシーを保ったまま直接的な取引を行えるようにする
というものが目指している思想 です。
Vergeの一番の特徴としては、やはりその高い匿名性が挙げられます。
モネロ(Monero)やZcash(ジーキャッシュ)と同様に匿名性が高いコインとして注目を浴びているので、まずは他2つのコインとの違いを比較してみるとわかりやすいかもしれません。
Vergeのアルトコインランキングは2018年3月末現在で27位となっています。
似たような匿名通貨のモネロ(Monero)が12位、Zcash(ジーキャッシュ)が25位なので、匿名通貨の中では(値段の側面から見ると)、今はあまり人気がないと言えるかもしれません。
Verge(ヴァージ)のチャート・値動き
2014年にはじめ公開されてから直後は1XVG=0.000007ドル程度と全く価値がありませんでしたが、2017年1月頃にやっと0.005ドル台まで値上がりしました。
その後少しずつ値上がりをしていましたが、12月下旬に突然超急激な値上がりを見せました。
なんと1XVG=0.3ドル近くまで一気に値を上げたのです。
2014年に購入した人ならば約4万倍、2017年1月に購入した人ならば、約60倍の値上がりを経験したというわけですね。
グラフを見ていただければ分かると思いますが、本当に急激な値上がりです。
まさに大暴投と言えるでしょう。
これはセキュリティソフト会社のJohn McAfee(ジョン・マカフィー)氏のTwtterでの発言が原因と考えられます。
https://twitter.com/officialmcafee/status/941003398215761922
主要な匿名通貨3つ(Verge,Monero,Zcash)について言及されていますね。
その後急激に上がり下がりを繰り返し、1月中頃に0.05ドル台まで値を下げてしまいました。
1月下旬で少し持ち直しますが、再び値を下げて行き、上下動を繰り返しつつ、現在に至るという感じです。
現在はだいぶ下がって、0.03ドル台を推移しています。
今後については、他2つの匿名通貨を比較してみると、現在時価総額の人気ではモネロが一つぬけていますし、3つの中では最も順位が低いので、少々厳しいといえるかもしれません。
Verge(ヴァージ)のここがスゴイ!
この章ではVergeのいくつかのメリットをまとめてみました。
完全なプライバシー保護を実現
ご存知かもしれませんが、ビットコインは取引を追跡することが簡単です。
具体的には
誰が(どのアドレスが)いつ誰(どのアドレスに)に対していくら送ったのか?
という情報の詳細が全て公開されています。
また、こちらのようなサイトでは、これまでのブロックチェーン上の取引の内容を確認することができます。
これは商品の売買などのように、公に認められた方がよい取引の場合には適していますが、ビジネス上で、なるべく多くの人には知られたくない取引などの場合には向いていません。
「知られたくない取引」の例としては購入金額がわかれば、購入数量がわかり、どれだけ仕入れしたのかなどの戦略的な情報がもれてしまうことで競合企業に分析されてしまう、というような場合が考えられます。
一方Vergeはこのような場合でもレイスプロトコル(Wraith Protocol)により、必要に応じてプライバシー保護を図ることが可能となっています。
簡単な操作により匿名にするかどうかをユーザが用途に合わせて切り替えることが可能です。
● 匿名性を支える技術TorとI2Pについて
Vergeの匿名性を支えている技術としてTorとI2Pが代表的ですが、それぞれ簡単にご説明します。
まずTor(The Onion Route)ですが、この技術はネットワークに参加している複数のノード(各端末)を経由することで、通信の経路をわからないようにします。
本来「誰がメールを受信した」「誰がサイトにアクセスした」という情報は、アクセス元のIPアドレスがわかると特定できてしまいます。
TorによってそのIPアドレスが特定できなくなっていると考えてください。
そして、I2P(The Invisible Internet Project)についてですが、こちらも複数のノードを経由する点では同じです。
しかしTorがノードの始点と終点については秘匿することができないのに対し、I2Pはノードの始点と終点も秘匿することができるという点で違いがあります。
また、I2Pでは送信内容そのものも暗号化するので、さらに匿名性を高めることができています。
この2つの技術を組み合わせることにより、Vergeは高い匿名性を備えることができました。
● モネロ(Monero)やZcash(ジーキャッシュ)との違いは?
具体的には匿名化に使われる技術、そして送金速度などが違います。
Monero(モネロ)ではグループで複数の公開鍵を利用するリング署名という技術を実装しています。
取引情報を複数人の中に紛れさせて送信するようなイメージを持ってもらうとわかりやすいかと思います。
取引承認時間は2分程度となります。
そして、Zcash(ジーキャッシュ)についてはゼロ知識証明という技術が利用されています。
ゼロ知識証明とは、
正しい情報を持っているということを証明するために、その情報を持っていないと答えられない(確率によって知らなくても答えられることもあるような)質問を何度も投げかける
というものになります。
取引承認時間は10分程度となります。
ゼロ知識証明について詳しく知りたい方はWikipediの記事も参考にしてみてください。
ヴァージはSimple Payment Verification(SPV)技術と呼ばれる技術を利用して、取引承認にかかる時間が4秒となっています。
ほか2つの通貨にくらべてかなり高速といえるのではないでしょうか。
ファンに支えられた仮想通貨
Vergeはそのコミュニティが活発であることも特徴です。
開発が有志のボランティアであることもそのひとつのあらわれですね。
また、日本でも公式ブログやTwitterという形でVerge Japan(https://medium.com/@vergecurrency.japan/)として有志が活動をしていますし、バージリスクというキャラクターまで作成されました。(Verge公認となっています。)
https://twitter.com/vergeliscus/status/939898536044273664
また、本家海外でも有志の制作チーム、公式サイトでの寄付、Facebookコミュニティなどが存在し、非常に活発にコミュニティが運営されているようです。
Verge(ヴァージ)の課題とリスク
Vergeにはどのような問題点があるのでしょうか。いくつかご紹介いたします。
ダークウェブで悪用されるリスク
Vergeは以前DogecoinDarkと呼ばれていました。
Dogeは柴犬をあらわすインターネット上のミーム(スラング)なのですが、Darkの部分は匿名性の高さを押し出すためにつけられたもののようです。
この「Dark」の部分が、直接的に「ダークウェブでの利用を示唆する」という一次情報は確認できませんでしたが、匿名性の高さはダークウェブで利用される可能性へつながります。
ここでいうダークウェブとは、インターネット上に存在するけれど、アクセスのために特別なソフトウェアや認証、特定のネットワーク(Torネットワーク)への接続などが必要となるwebコンテンツです。
ダークウェブでは、ダークネットマーケットというような非合法な商品(薬物、拳銃、盗難クレジットカード情報など)が取り扱われるwebマーケットが存在します。
匿名性が高いがゆえに、ダークウェブで利用されるリスクは高いと言えるでしょう。
ライバルアルトコインの存在
Vergeにはほかにモネロ(Monero)やジーキャッシュ(Zcash)、ダッシュ(Dash)などの匿名性をそなえたアルトコインのライバルが複数存在します。
どの通貨にも一長一短があるのですが、Vergeについては現在もっとも時価総額が低く、大きな変化がないと、利用者、開発者が他のコインに移ってしまう可能性はリスクとして考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在はほかの匿名通貨に押されぎみですが、ファンのコミュニティの活発さなどを見ると、一概に「先がない」とは言い切れません。
今後に期待したいですね。