ステラという仮想通貨をご存知でしょうか。
ステラとは、リップルという仮想通貨を基にして開発された仮想通貨です。
リップルが企業間での取引を対象にしているのに対して、ステラは個人間での取引が対象とされているという違いがあります。
今回はステラの個人決済の仕組みを中心に、リップルを始めほかの仮想通貨との違いを交えながら解説していきます。
ステラとは
ステラは、マウントゴックスという東京に拠点のある仮想通貨取引所の創設者であるジェド・マケーレブ氏が中心となり開発された仮想通貨です。
2014年7月31日に公開され、英名はStellar、通貨コードはXLM(ルーメン)となっています。
リップルという仮想通貨を元に開発されており、個人間での決済に関して国境を超えて可能にするということを目標にして開発されました。
大きな特徴としては、毎年1%ずつ追加発行することによる金融緩和策が取られていること、中国からの利用による価格の高騰を防ぐためにその認証にFacebookが利用されていることなどが挙げられます。
ステラの値動き
ステラはリップルを元にして開発されているため、リップルの値動きと連動していることが多いです。
過去には2017年5月から2018年にかけて急激に高騰していました。
これはリップルの価格の動きと非常に酷似しており、やはり連動していることがわかるデータだと言えます。
このリップルの高騰の要因として、Googleからの出資と三菱東京UFJ銀行などの金融機関がリップルのシステムを採用すると発表したことが挙げられます。
この要因から見ても、リップルの信頼性は高く、それに連動した手すらも安心して取引ができる通貨であると言ってもいいでしょう。
また、現在仮想通貨全体の相場が下落傾向にあるため、現在の相場は下がり気味ですが、先述の通り金融緩和策が取られているなど、全体的には安定した値動きとなっているのが特徴だと言えます。
個人間の決済を目的にしていること、リップルと連動し大きな値動きをできるだけ抑制するよう対策が取られていることなどを勘案すると、今後リップルとともに成長し安定的な投資ができる仮想通貨として成長していく可能性があります。
ステラのここがスゴイ!
個人向けに特化した決済システム
ステラの決済システムを説明する前に、リップルの決済システムを簡単に紹介します。
リップルはそもそもオンラインでの取引を簡単にするシステムを構築するために開発された仮想通貨であるとも言われています。
そのシステムとはリップルネットワークと呼ばれ、仮想通貨をそのまま銀行に預け入れるなど、クレジットカードでの決済を仮想通貨で行うなどの処理を高速で行えるものになっています。
そしてテスラもリップルと同じシステムでの決済システムを採用していますが、
両者の違いはリップルが金融機関どうしなどの企業向け、ステラは個人向けであるという点です。
この違いで何が変わるのかというと、個人向けの方が処理速度が非常に早いということです。
これは企業間の取引よりも、個人間の取引の方が扱う金額も少なく、取引量も多いためという当然の理由なのですが、リップルで画期的な速さになったものがさらに個人向けで速い処理速度になったと考えてください。
そして、この処理速度の速い決済システムにより、例えば海外の通販サイトでの買い物が、円とドルの間にステラが仲介で入ることによりスムーズに決済が完了する、ということが可能になっています。
コインの発行流通量が増加していく仕組み
リップルには発行数量に上限が設定されており、それは1,000億リップルという上限です。
この上限に達して以降リップルは新規に発行されなくなる上に、取引されるたびに流通量が減るという特徴があります。
しかし、ステラの場合この上限1,000億ステラという値は変わらないのですが、はじめに1,000億発行されたのちに年に1%ずつ総量が増加していきます。
これはステラが個人向けに開発された仮想通貨であるがために、流通量を一定ずつ増やすことで価格の変動・通貨の価値を安定させる必要があるからです。
しかし、現状ではリップルの値動きに連動する形でステラも高騰したりしているので、十分に機能しているとは言い難いです。
特に最近ステラが注目されるようになってからは、需給のバランスが安定しないという状況も続いているので、仕組みとしてまだまだ改善の余地が残されているとも言えます。
Facebook認証で中国リスクを軽減
中国では人民元という通貨が使用されていますが、実はこの人民元は海外への流通が厳しく規制されています。
その影響もあり、海外との取引をする中国人の多くが仮想通貨を利用しての海外への送金を行っていたため、仮想通貨の取引の9割が中国人という時期もありました。
しかし、それにより人民元の海外流出を懸念した中国政府は仮想通貨を厳しく規制するようになりました。
この中国政府による規制で取引ができなくなった中国人が多数いることにより、仮想通貨の値動きが激しくなるという問題があり、中国に人気のある仮想通貨は、過去に大きな乱高下をしてきました。
しかし、ステラの認証にはFacebookが使用されています。
中国国内からはFacebookの閲覧ができなくなっているため、中国人によるステラ利用者は大幅に締め出されていると言えます。
その結果、中国による仮想通貨規制の影響からの激しい値動きもステラには考えにくいものとなっているのです。
リップルを改良した独自のプロトコル
ステラのプロトコルは、いわばリップルのプロトコルの改良版となっています。
リップルのプロトコルではブロックの承認者を限定し、その限定された承認者のうち80%以上の承認が得られなければコインが分裂してしまうという大きなリスクを抱えています。
しかし、個人向けであるステラではそのようなリスクがあってはいけないので、ステラでは80%の承認が得られなくてもいいという仕組みになっているため、コインの分裂という大きなリスクを伴いません。
この独自のプロトコルはSCP(Stellar Consensus Protocol)というもので、元のリップルと同じ仕組みが改良されて、承認システムの他にも、セキュリティやデータ負荷に対する耐性においてもリップルより優れていると言われています。
ステラの課題とリスク
個人向け決済通貨としての安定性の懸念
ステラはリップルとは違い、個人向けの決済通貨であることは理解できたかと思います。
個人向けの決済通貨であるということは、企業向けの決済通貨よりもより安定性が求められます。
通貨の価値を安定させるためにステラは様々な特徴を持っていますが、例えば前述の年1%ずつ発行されるという仕組みも、まだうまく機能しているとは言えないなど、決済通貨としての安定性にはまだ不安が残っています。
今後リップルに連動して高騰や下落することもまだまだ可能性として残されているので、決済通貨として安定性を求めるにはまだ完全とは言い切れません。
そういった点からもステラはまだ発展途上の仮想通貨であると言えます。
ステラのリスク
ステラも仮想通貨である以上は、今後ある程度の価格変動リスクがあることは忘れていはいけません。
中国人の締め出し等の対策はしているステラですが、仮想通貨としてはまだまだちょっとしたことで価格が大きく上限するので、慎重に考えていく必要があるでしょう。
まとめ
ここまでステラの詳細を紹介してきました。その内容を簡単にまとめると次のようになります。
分類 | 特徴 |
通貨コード | XLM |
公開日 | 2014年7月31日 |
開発者 | ジェド・マケーレブ |
発行上限 | なし(1,000億発行後、年1%ずつ追加発行) |
プロトコル | SCP(Stellar Consensus Protocol) |
また、主な特徴は次の通りです。
- 個人向けの決済システム
- 中国規制対策としての中国人の締め出し(Facebookによる認証)
- リップルとの連動した値動き
また、ステラはまだまだ発展途上の通貨であることも説明しました。
個人向け送金としての地位を気づけば、期待値は上がっていく可能性はありますが、発展途上ゆえのリスクも考慮して取引を始めることをおすすめします。