仮想通貨は値動きだけでなく、未来の新技術に繋がるような新しい概念を生み出しています。
この中には、仮想通貨以上に新しい発想を呼び込むプラットフォームのような働きをするものも生まれています。
そのひとつが、今回ご紹介するリスク(Lisk:LSK)です。
こうしたプラットフォームを「分散型アプリケーションプラットフォーム」といい、イーサリアム(Ethareum)もそのひとつであることは知られています。
はたして、リスクはイーサリアムとどこが違うのでしょうか。
リスクが持っているイーサリアムとは違う特徴とはいったいどのようなものなのでしょうか。
Lisk(リスク)とは
Lisk(リスク)は2016年5月にリリースされた、比較的古い仮想通貨で、イーサリアムと同じような分散型アプリケーションを構築しているプラットフォームプロジェクトでした。
イーサリアムと同じようなスマートコントラクトを内蔵し、誰でも簡単に仮想通貨を使える・作れるという点を、イーサリアム以上に追及しています。
それが証拠に、開発言語を現在の多くのプログラマーが触れることが出来る「Javascript」を活用していること、そしてトランザクション処理性能を高めるためにDPoSという仕組みを導入しているのです。
2018年5月10日現在、Lisk(リスク)の仮想通貨時価総額ランキングは23位。
果たして、今後どのような変遷を見せるのでしょうか。
Lisk(リスク)のチャート・値動き
Lisk(リスク)のチャートを見てみると、2017年12月にあった仮想通貨の大高騰の他にもう1つ山が来ているのがわかります。
これだけでもLisk(リスク)がほかの仮想通貨とは異なった戦略で作られていることがわかるでしょう。
Lisk(リスク)は2016年5月にリリースしてから1LSK=10~20円といったところでした。
その後、あまり注目を集めることはありませんでしたが、ちょうど1周年前後の2017年5月から値が動き始め、6月には300円を超える水準に達成しました。
その後、乱高下しながら、11月に突入すると値が吊り上がります。
これは、11月5日のイベントに合わせた動きでした。
12月は皆さんも知っての通りとなっています。
しかし、Lisk(リスク)はここで終わりません。
2018年2月21日にリブランディングを仕掛けることで、市場の注目を大いに集めることになったのです。
しかし、仮想通貨プレイヤーの視点からはこのリブランディングはあまり魅力的なものと映らなかったようで、また値が下がっています。
Lisk(リスク)の値動きは、アップデートスケジュールとその延期という期待の波が行ったり来たりするといった形であり、プレイヤーとしてもやきもきさせられる部分が大いにあります。
それでも、2018年5月20日現在では1LSK=1,280円前後となっており、今後の値動きに注目したいところです。
Lisk(リスク)のここがスゴイ!
サイドチェーンでイーサリアムと差別化
分散型アプリケーションプラットフォームとして、Lisk(リスク)はよくイーサリアム(Ethareum)と比較されますが、Lisk(リスク)はイーサリアムよりもセキュリティが強固であるという評価があります。
これは、新しいアプリケーションやサービスを作成する際に、イーサリアムでは核となるブロックチェーン上にそのまま作成されるのに対し、Lisk(リスク)ではサイドチェーン(Sidechain)という仕組みに作成されるという違いがあるためです。
サイドチェーンとは、主となるブロックチェーンに接続することが出来る、小さなブロックチェーンをたくさん作る仕組みです。
サイドチェーンでは、何か問題があった場合には、そのチェーン自体を切り離すことによって主となるブロックチェーンを守ることが出来ます。
イーサリアムのThe DAO事件では、主となるブロックチェーンの脆弱性をつかれ集まった資金を盗み取られてしまいました。
一方で、Lisk(リスク)でこのような状況が生まれてしまった場合は、速やかに問題となっているサイドチェーンを主となるブロックチェーンから切り離すことによって、被害を最小限に防ぐことが出来るのです。
Javascriptを採用したことで開発が容易
プログラマーならば誰もが聞いたことがあり、実際の開発の現場でもよく使われている言語のひとつが「Javascript」です。
この言語を用いて開発されているLisk(リスク)では、他の開発言語を選択する必要なく、開発を進めていくことが出来ます。
つまり、現役のプログラマーであればLisk(リスク)を使ってサービスを展開することは、比較的容易いといえるでしょう。
イーサリアムでは、独自のプログラミング言語であるSolidityが採用されており、この言語を使いこなせなければイーサリウムでアプリケーションの開発やサービス展開を行うことは非常に難しいのです。
Lisk(リスク)は非常にユーザーフレンドリーな開発環境が出来上がっているといえます。
DPoSという最新のコンセンサスアルゴリズムの採用
Lisk(リスク)では、DPoS(delegated Proof of Stake)というコンセンサスアルゴリズムが導入されています。
DPoSはdelegated、すなわち間接民主主義のような仕組みを採用します。
PoSではその仮想通貨の保有量や取引量が多ければ多いほど、取引が正しいかどうかを示せる承認者に選ばれる可能性が高まります。
この承認者に選ばれると、取引が正しいという承認をすることでマイニング報酬が得られるという仕組みです。
一方で、DPoSでは、コインの保有量や取引量に応じて投票権が与えられ、この投票権を使って承認者を選ぶことになります。
PoSと比べるとワンクッションはさんでいることがわかるでしょうか。
DPoSでは、ネットワーク全体の負荷が少なくなるため、トランザクションの処理性能が非常に高まります。
たくさんのアプリケーションが生み出される予定のLisk(リスク)にはもってこいの仕組みといえるでしょう。
Lisk(リスク)の課題とリスク
Liskの開発が終わらない懸念
実はLisk(リスク)という仮想通貨は、2018年5月段階でもまだベータ版であり、正式な製品とはいいがたい状況にあります。
Lisk(リスク)の大きな特徴のひとつであるサイドチェーンも実は、実装されていないのです。
当初の開発スケジュールではLisk Core1.0という大幅なアップデートを、2017年9月に行われることがアナウンスされていましたが、このスケジュールは2度にわたって大幅に変更されています。
GitHubの開発現場では、着々と開発が進んでいることがわかりますが、それでも明確な実装時期の目途が立っていないのが現状です。
果たして、Lisk(リスク)の開発はうまくいくのでしょうか。
リブランディングの失敗
リブランディングとは、ブランドイメージを刷新することです。
Lisk(リスク)のリブランディングは、2018年2月21日に行われ、シンブルアイコンの変更や公式Liskウォレットを廃止して一から作り直すなどかなり抜本的な変更がアナウンスされました。
しかし、その後のチャートの動きを見る限り成功したということは難しいでしょう。
仮想通貨は確かに新しい技術であり、その進歩も日進月歩といえるものです。
とはいえ、大きく膨らんだ期待が裏切られたときには、思わぬ事態を招くことがあります。
Lisk(リスク)には開発自体にリスクが存在するといわざるを得ないでしょう。
まとめ
サイドチェーン、DPoSなど多様な新技術を導入しているLisk(リスク)についてみてきました。
非常に期待できる技術を持っている一方で、幾度となく開発スケジュールを変更しているという点で、プレイヤーたちに不安を与えている仮想通貨でもありました。
果たして、Lisk(リスク)の開発はうまくいくのでしょうか。
ぜひ注目していきましょう。