イーサリアム(ETH) ネオ(NEO)

仮想通貨ネオ(NEO)は中国版イーサリアム?

更新日:

アルトコインの一種であるネオ(NEO)をご存知でしょうか。

中国版イーサリアム(Ethereum)と呼ばれているため、イーサリアムに似たコインというイメージがあるかもしれません。

イーサリアムとの類似点、相違点なども交えながら、ネオの特徴を説明します。

(引用:NEO公式サイト)

ネオ(NEO)とは?

  • 公開日:2016年8月(取引所上場は10月)
  • 開発者:Da HongFei(NEO創業者)
  • 通貨単位:NEO(正式には「ニオ」と発音しますが、日本では「ネオ」が一般的です。)

NEO(ネオ)はOnchainという中国のスタートアップ企業が開発した仮想通貨で、ブロックチェーン技術を用いて資産や個人情報、契約などをデジタル化して運用されることを目指しています。

元々はアントシェアーズ(Antshares)という名前でしたが、2017年にリブランディングしてNEO(ネオ)に変更しました。

主な特徴は次の3つです。

ポイント

・スマートコントラクトを実装、中国版イーサリアムと呼ばれている

・使えるプログラミング技術が豊富

・独自のブロック認証システムを採用

これらについては後章で詳しく説明します。

ネオは、アルトコインの時価総額ランキングでは第9位でトップ10入りしています。(2018年4月現在)

(出典:コインマーケットキャップ)

ネオ(NEO)のチャート・値動き

ネオ(NEO)のチャート

2017年末から現在までのチャートを見てみましょう。

ネオは中国発の仮想通貨のため、中国の動向がチャート変動に大きく関わっています。具体的に見ていきましょう。

・2017年8月まで 5,000円の高値を記録。時価総額ランキング10位にランクインします。

・2017年9月 2,000円に急落。中国の建国記念日(国慶節)の影響を受けたとの噂もありました

・2017年12月 価格上昇。ネオ自体の特徴や中国の影響だけでなく、日本全体で仮想通貨の取引が活発化したことが影響していると考えられます。

・2018年1月中旬 ビットコイン(Bitcoin)暴落と同じタイミングでネオも大きく価格を下げました。この辺りからは流行りに乗って仮想通貨を購入した人も多いため、他のコイン、特にビットコインの変動の影響を大きく受けていると考えられます。

ちなみに、根拠はないですが、仮想通貨は毎年1月に大きく値を下げるという傾向(アノマリー)があります。

https://twitter.com/jetdaizu/status/953210822473392128

ネオのここがスゴイ!

それでは、ネオの特徴を紹介して行きたいと思います。

中国版イーサリアム

ネオは中国で開発された仮想通貨ですが、その特徴から中国版のイーサリアムと言われています。

イーサリアムとは、ビットコインに次ぐ第2位のアルトコインで、その特徴は何と言っても「スマートコントラクト」です。

スマートコントラクトとは、「契約が自動的に実行される仕組み」のことで、よく自動販売機を例に説明されます。

スマートコントラクトを自動販売機に例えると

・ユーザが自動販売機にお金を入れて、買いたい商品のボタンを押す

・自動販売機は金額と押されたボタンを確認し、商品とお釣りを購入者に返す

・お金が足りない場合は、商品は購入できない

自動販売機のことを契約というと少し大げさですが、スマートコントラクトを使うと自動販売機の例と同じように、あらかじめ決められたルールに沿って、自動で契約を実行することができます。

イーサリアムはスマートコントラクトを提供する最も有名なアルトコインですが、NEO(ネオ)でもこのスマートコントラクトを対応しています。

スマートコントラクトを応用すると、商品の購入、保険の契約、資産の交換等、契約に基づく経済的な取引を自動化することが可能です。

ネオは「スマートエコノミー」をビジョンに、ネオ内で生活が完結する経済圏の創出を目指しているのです。

多くのプログラム言語に対応し開発者に優しい

前述したように、イーサリアムもネオもスマートコントラクトに対応しています。

しかし、スマートコントラクトを実現するためには、あらゆる仕組み(ルール)をコンピュータに定義しなければなりません。

例えば、自動販売機であれば、

・投入された金額を計算する仕組み

・押されたボタンを検知して、商品を渡す仕組み

・お釣りを計算する仕組み

・在庫がなくなった時に購入できなくなる仕組み

・購入本数や金額を集計する仕組み

などが考えられますが、このようなルールを自動化するためには、プログラミング言語でルールを正確に記載する必要があります。

イーサリアムでは、このようなルールを定義するために、独自のプログラミング言語「Solidity」を用います。

「Solidity」はイーサリアム独自のプログラミング言語なので、スマートコントラクトの開発者は、まず「Solidity」の学習をしなければならず、開発の負荷が高いという問題がありました。

一方で、ネオはスマートコントラクトを開発するために、Microsoft.net、Java、Kotln、Go、Pytho、C+などの一般的に使われているプログラミング言語が利用可能なため、プログラマーの開発が容易であるという利点があります。

これは小さな特徴に思えるかもしれませんが、今は世界中でブロックチェーンの技術者が足りておらず、開発の負荷を下げる仕組みはとても重要なものです。

ビザンチン将軍問題を解決

ビザンチン将軍問題(Byzantine Generals Problem)とは何でしょうか?

ビザンチン将軍問題とは、複数のメンバーで合意形成(コンセンサス)をとる時に、不正をする人がいる場合でも正しい合意形成ができるかを問う問題です。

仮想通貨の基礎であるブロックチェーンには、中央に管理者(例えば、日本円を管理する日本銀行のような存在)がおらず、ネットワークの参加者が協力することでネットワークを維持しています。

これを、非中央集権型システム(Decentralized System)と言います。

中央に管理者がいないネットワーク上では、管理している誰かが悪意を持って不正を働き、システムに問題を起こすこともあり、このような問題を「ビザンチン将軍問題」と呼びます。

それでは、それぞれの仮想通貨はどのようにこの問題を解決しているのでしょうか。

・プルーフ・オブ・ワーク(PoW)

ビットコイン等で採用されている、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、多くの計算作業をした人に新しいブロックを承認する権限と作業報酬を与える仕組みです。この作業のことをマイニングと言います。

作業量が重視されるため、多くのパソコンを稼働させて多くの計算作業をした人が有利になるので、電力が多く使われるデメリットがあります。このデメリットを解消したのが、次に紹介するプルーフ・オブ・ステーク(PoS)です。

・プルーフ・オブ・ステーク(PoS)

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは、持っている仮想通貨の量が多ければ多いほど、新しいブロックをブロックチェーンに繋げる権限を持ちやすい、という仕組みのことです。

保有している仮想通貨の量が重視されます。

多くのアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)で採用されている仕組みです。

イーサリアムはPoWからPoSへ移行することを発表していますが、完全に移行するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

・ネオ(NEO)のDBFTについて

それでは、肝心のNEOはどのような仕組みなのでしょうか。

ネオでは、DBFT(Delegated Byzantine Fault Tolerant:ビザンチン耐障害性コンセンサスメカニズム)というアルゴリズムでビザンチン将軍問題を解決しています。

DBFTの仕組みは民主主義的で、ブロックの監視役を投票で決める仕組みになっています。

ブロックチェーンに参加する人(Aさん〜Fさん)で投票を行い、選ばれた数人(Aさん,Bさん,Cさん)を監視役候補にします。

次に、ランダムで監視役候補が一人選ばれます。

Aさんが選ばれたとしましょう。

すると、「本当にAさんで良いのか?」という投票が行われます。

この時の投票権利は、候補に選ばれていたBさんとCさんにあります。

BさんとCさんの投票の結果、66%以上が「Aさんで良い」となれば、監視役はAさんに決まります。

もし、投票の結果でAさんが選ばれなかった場合はどうなるのでしょう。

再びランダムで監視役候補が一人選ばれ、同じように投票が行われます。

これを繰り返し、監視役が決まります。

DBFTのメリットは、民主主義的に監視役が決められるため、悪意のある者が監視役になりにくいことです。

一方、デメリットはNEO協議会が半数以上のNEOを保有していることです。

もしも悪意のある人が監視役になってしまったら、やりたい放題になってしまいます。

そのような事態を防ぐため協議会が半数以上のNEOを保有しているのですが、その結果、完全な民主主義とは言えない状態になっています。

大企業と提携している

NEOは中国最大手オンライン市場のネットショップであるアリババや、アメリカに本社を置くマイクロソフト(Microsoft Corporation)と提携しています。

NEOはイーサリアムと同様、スマートコントラクトが使えるプラットフォームのため、企業からしても色々な応用ができることが提携の理由でしょう。

例えば、NEOは、2018年3月にMicrosftと共同で、Devconというブロックチェーンの開発コンテスト(ハッカソン)を開催されました。

賞金には、総額50万ドル(5,500万円)が用意されるなど、ブロックチェーンのハッカソンとしてはかなりの規模の高いと言えるでしょう。

ちなみに、結果はNEOの公式サイトで公開されています。

 

参考までに1位となった(?)、NACHOMENというプロレスゲームのプロトタイプ動画を紹介します。

まだまだ、発展途上のようですね。

※見た目はまだまだですが、このような対戦型ゲームを動かすしくみにNEOのブロックチェーンが使われているという点が評価のポイントです

ネオの課題とリスク

中国のリスク

ネオは中国発の仮想通貨です。

中国政府は仮想通貨に関する規制を何度も出しており、2017年1月初旬には仮想通貨の取引所への規制、2017年9月にはICO規制と取引所への規制、2017年12月にはマイニング会社への規制をかけています。

中国国内で仮想通貨の取り扱いが禁止になるという極端なことは起こっていませんが、「規制の厳しい中国の仮想通貨である」ことを頭に入れておく必要があります。

ブックキーパーによる独占のリスク

ブックキーパーとは、ビザンチン将軍問題の章で説明した「監視役候補」のことです。

DBFT採用に伴い、ブックキーパーによる独占が起きてしまう可能性があります。

民主主義的に選ばれたと言っても、選ばれた人が必ずしも信頼できる人とは限りません。

権利がブックキーパーに集中しますので、悪意のある人がブックキーパーとして選ばれてしまうと、ネオのブロックチェーンを支配される可能性もあります。

まとめ

中国版イーサリアムとも言われるネオ。

国内取引所では取引できませんが、イーサリアムに似た特徴を持っており、多くのプログラミング言語にも対応していることから手を出しやすい仮想通貨ですが、中国リスクがあることを踏まえて判断する必要があるでしょう。

 

 

-イーサリアム(ETH), ネオ(NEO)
-, , , , , , , , ,

Copyright© 仮想通貨メディア Coin City(コインシティ) | ビットコインからアルトコインまでを徹底解説 , 2024 All Rights Reserved.